最近なんだか眠れない。これって不眠症?

不眠症と一言でいっても、寝付きが悪い、途中で起きてしまう、まったく眠れないなどいろんなケースがあります。原因は精神的なストレスや、不規則な生活、身体的な痛みや痒み、頻尿や呼吸器疾患などさまざまですが、当院ではそれらの原因が最終的には自律神経のバランスを崩して、不眠や睡眠障害を招いていると考えています。上記の症状以外に朝すっきり起きられない、疲れがとれた感じがしない、熟睡できないといった睡眠の質の低下が続くといろんな疾患につながり易いので、早いうちに治療することが必要です。

「不眠症・睡眠障害」の治療実績

当院はこれまで250名以上の不眠症状を持つ患者さんを診てきました。いろんな病院に行った方、睡眠導入剤を飲んでいる方、心療内科を受診している方等々。薬を飲めば眠れるという方や、飲んでも途中で起きてしまう、または全く眠れないという方もいます。睡眠導入剤の服用というのは、最も一般的な不眠症の治療方法でしょう。しかし依存性や副作用などを懸念する方も多く、長期服用はできれば避けたいものです。

当院では薬を服用されている方にやめるようアドバイスすることはしません。しかし治療を続けているうちに、患者さん自らが睡眠導入剤を徐々に減らしたり、または飲むのを忘れてしまったという事はよく耳にします。自律神経を整えることで副交感神経がしっかり働き、睡眠の質を上げた結果だと考えています。

それではここで不眠症の種類と原因についておさらいしてみましょう。

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不眠症・睡眠障害の種類

1.入眠障害

寝床に入るがなかなか眠ることができなく、寝つきが悪い状態
「なかなか寝付けない」 「眠ろうしても目が冴えて眠れない」

2. 中途覚醒

一旦,入眠した後に起床するまでに、頻繁に目が覚めてしまう状態
「夜中に何度も目が醒める」「夜中に目が醒めて、その後なかなか寝付けない」

3.早朝覚醒

望む起床時間よりも前に目が覚めてしまい、再入眠できない状態
「朝早く目が醒めて、その後寝付けない」

4.熟眠障害

睡眠時間は十分に取っているにもかかわらず、眠った感覚が得られない状態
「眠った気がしない」「眠りが浅い」「疲れが取れていない」

不眠症・睡眠障害の原因

身体的なもの

身体に一部に痛みがあったり、かゆみやしびれ等の不快感があって眠れない。また咳や鼻詰まり等の風邪の症状で息苦しくて眠れない、せっかく寝たのにトイレが近くて(頻尿)たびたび起きてしまうなどの身体的な要因。

心因的なもの

ストレスや悩み、イライラ、考え事などで頭が休まらずに眠れない。または極度の緊張状態が続いてしまったり、「眠なければいけない」と睡眠へのこだわりが強くなり過ぎるのも逆効果です。

環境によるもの

引っ越しや場所の変化や、暑いとか寒いなど気温や湿度によって眠れないこともあります。また寝室の明るさや騒音なども睡眠の弊害になります。夜勤や旅行による時差など生活リズムの乱れも要因の一つになります。

④薬物によるもの

寝酒なんて言いますし、実際お酒を飲むと眠くなるので不眠症によさそうな気がしますが、不眠症の方は絶対に飲んではいけません。たしかにアルコールは睡眠導入にはいいのですが、逆に睡眠を浅くし利尿作用もあるので、中途覚醒や睡眠の質を低下させます 。耐性や依存性も高く「飲まないと眠れない」と言う方は意外に多く、飲酒量も増える傾向にあります。カフェインや薬の副作用なども睡眠の妨げになることがあります。

 

不眠症の一般的な治療方法

生活習慣の改善

「えっ?これが治療?」と思うかもしれませんが、実は一番大切な治療です。上にあげた「不眠の原因」の根本的な要因は、すべて自らの生活習慣の中にあると言っても過言ではありまません。項目を一つ一つ確認して継続的に改善することは、後述する治療をするにしても、まずやらなければならないことです。

※ 日光を浴びる
※ 休日でも起床時間は平日と2時間以上ずらさない
※ 昼寝は午後3時までの20~30分以内にする
※ カフェインを多く含むお茶やコーヒーを夕方以降飲むのを控える
※ 部屋の照明は明るすぎないようにする
※ 寝酒はしない
※ 寝る前のパソコン、携帯、テレビの使用を避ける  等々

認知行動療法

認知行動療法は、考え方と行動のパターンを変える治療法です。

① 毎朝、何時から何時まで、どれくらい眠れたかなどを記録
② 自分の睡眠のパターンを知り、治療戦略を練る
③ 寝床では、睡眠以外の行為をしない
④ 途中で15分以上目が覚めてしまったら、寝床を出る
⑤ 寝床に戻るのは眠くなった時だけ
⑥ 最初は短い時間だけ寝るようにし睡眠の質が上がってきたら徐々に時間を増やす
⑦ 必要な睡眠時間のみ寝床にいるようにし睡眠の質が良くなるよう導く等々

薬物療法

次に不眠症の治療と言えば、やはり一般的に知られているのは「睡眠導入剤」の服用でしょう。現在おもに扱われている睡眠導入剤は4種類です。脳の興奮を制御する「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」、近年発売された睡眠・覚醒の周期に関係する生理的な物質の働きを調整する「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」です。

最も普及している「ベンゾジアゼピン系」「非ベンゾジアゼピン系」は、睡眠効果が高く汎用性もありますが、ふらつきなどの副作用に加え、耐性や依存性が高く、長期服用により効き目が減少したり、急な減量や服用を中断すると服用前より強い不眠が現れたり、不安、振戦、せん妄、幻覚などの離脱症状が起きるなどリスクが伴います。

一方で新薬である「メラトニン受容体作動薬」や「オレキシン受容体拮抗薬」は体内の生理的な物質の働きを調整するので、耐性がなく依存性は極めて少ないのですが、体に優しい分ベンゾジアゼピン系と比べて、効果が弱かったり個人差がかなりあるようです。

睡眠導入剤の種類とメカニズム

不眠症の最も一般的な治療方法である「睡眠導入剤」について、その仕組みやメカニズムを見ていきましょう。現在主流となっている薬は、脳の興奮を制御する「ベンゾジアゼピン系」と「非ベンゾジアゼピン系」と言われる2つのお薬です。

・ベンゾジアゼピン系
GABAという脳内の抑制性の神経伝達物質の働きを助けることによって鎮静・傾眠作用を表します。短時間型から長時間型までの種類があり、2022年現在一番使われている睡眠導入剤です。筋弛緩作用がふらつきや転倒などを招くことがあり、耐性や依存性があります。

 超短時間型:ハルシオン(トリアゾラム)
 短時間型:レンドルミン(ブロチゾラム)
 エバミール/ロラメット(ロルメタゼパム)
 リスミー(リルマザホン)
 デパス(エチゾラム)
 サイレース/ロヒプノール(フルニトラゼパム)
 中間型:ユーロジン(エスタゾラム)・ベンザリン/ネルボン(ニトラゼパム)
 長時間型:ドラール(クアゼパム)

・非ベンゾジアゼピン
ベンゾジアゼピン系を改良して、筋弛緩作用を少なくしてふらつきや転倒などの副作用を減らしたもので安全性、耐性、依存性もベンゾジアゼピン系より少ないと言われています。ただ欠点としては非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、作用時間の短い短時間型しかありません。
 超短時間型:マイスリ―(ゾルピデム)・アモバン(ゾピクロン)・ルネスタ(エスゾピクロン)

また近年では睡眠・覚醒の周期に関係する生理的な物質の働きを調整するため耐性がなく、極めて依存性の少ない薬も出てきました。

・メラトニン受容体作動薬
メラトニンという睡眠覚醒のリズムをコントロールする脳内物質があります。夕方から夜間にかけてメラトニンの濃度が上昇することで自然な眠気が生じるとされています。そこで、メラトニンと同じように脳内に作用することで自然な眠気が生じることを目指した薬ですが、効果が弱く個人差があります。2014年発売。

【薬品名】ロゼレム(ラメルテオン・メラトベル

・オレキシン受容体拮抗薬
視床下部から放出される覚醒ホルモンであるオレキシンを抑制し,覚醒レベルを低下させることで眠りに導くお薬です。中途覚醒や早朝覚醒には一定の効果がありますが、入眠障害には効果が弱く、レム睡眠を増加させて夢が増え悪夢となってしまうことがあります。2015年発売。

【薬品名】ベルソムラ(スボレキサント)・デエビゴ

 

以上、4種類のお薬が睡眠導入剤として一般的に普及しているものですが、効果が高く汎用性のある「ベンゾジアゼピン系」は、ふらつきなどの副作用に加え耐性や依存性が高く、長期服用により効き目が減少したり、急な減量や服用を中断すると服用前より強い不眠が現れたり、不安、振戦、せん妄、幻覚などの離脱症状が起きるなどリスクが伴います。「非ベンゾジアゼピン系」は副作用はないものの、依然耐性や依存性はあります。一方で近年開発された「メラトニン受容体作動薬」や「オレキシン受容体拮抗薬」は体内の生理的な物質の働きを調整するので、耐性がなく依存性は極めて少ないのですが、体に優しい分ベンゾジアゼピン系と比べて、効果が弱かったり個人差がかなりあるようです。

    不眠症の根本治療 「自律神経の調整」

    当院で実施している治療方法です。上にあげた4つの「不眠症の原因」は自律神経に影響を及ぼし、交感神経と副交感神経のバランスを崩すことによって、不眠や睡眠障害が引き起こされると考えられています。

    自律神経とは末梢神経のなかの一つで、私達の意思とは無関係に血管や内臓の働きを支配しています。食事をした後に食物が自然に消化・吸収されるのも、睡眠時に休みなく心臓が動いたり呼吸が行われるのも、全て自律神経の働きのおかげです。自律神経は先ほども少し触れましたが、交感神経と副交感神経の2種類で構成されています。交感神経は「アクセル」、副交感神経は「ブレーキ」の役割を果たし、2つがバランスを取りながら循環、呼吸、体温調節、消化、分泌、排泄など、基本的な生命活動(生体恒常性=ホメオスタシス)を維持する機能を担っています。

    前述した4つの「不眠症の原因」はどれも「アクセル」である交感神経を優位にさせるものばかりです。身体の痛みや不調、イライラや極度な緊張、環境の変化もアルコールやカフェインも心身のストレスを増加させ、交感神経系が優位な時間帯が長い状態が続くことで、副交感神経とのバランスが悪くなります。交感神経が優位になると脳や神経を興奮させ、心拍数を増やし、筋肉を収縮して血行が悪くなるので血圧も上がります。こんな状態で眠れるでしょうか?一方で副交感神経が優位になると、脳や神経はリラックスして、心拍数や呼吸が落ち着き、筋肉も血管も緩み身体もリラックスするので、よく眠れるのです。
    自律神経についての詳細はこちら>>

    中国整体の自律神経調整法

    ではどのように自律神経のバランスを調整していくのか具体的に説明致します。

    自律神経がどこにあるかご存じですか?背骨には主に交感神経、首(頚椎)と骨盤の骨からは副交感神経があります。これまでの臨床経験から自律神経のバランスが悪い方は、ほぼ全ての方の姿勢が悪く骨格のバランスが崩れています。アンバランスな骨格で無理に体を支えようとするので、筋肉が常に緊張して血管や神経を圧迫し続けます。さらに猫背やストレートネック、骨盤後傾など悪い姿勢で自律神経が圧迫し続けられると、それぞれのスイッチの切り替えがスムーズに出来なくなり、呼吸や体温、ホルモン調節、内臓機能に影響が出てきます。こういった不調は徐々に出てきますので、病院の検査では数値として出てこない場合が多く、また天気や気候、気分でも左右されやすいので、放っているうちに悪化するケースが多いです。

    不眠の方は特に副交感神経の圧迫を取りたいので、首や骨盤と中心に背骨全体の筋肉を緩めていきます。同時に身体の前、胸や喉等の筋肉が収縮しているので、これらを伸展させて前後の筋肉バランスを整えることで姿勢が正しく保たれます。初診の患者さんは緊張しやすく、慢性的に固まった筋肉はほぐれにくいのですが、中国整体特有のリズムとイタ気持ちいい感覚が深部の筋肉まで浸透し、体の芯からほぐれて力が抜けて行きます。さらにほぐれた筋肉を3D方向に動かし、可動域を広げながら関節に隙間を作って行きます。背骨(12個)首の骨(7個)と腰の骨(5個)に加え、骨盤の関節に少しずつ隙間が出来ることにより、そこから出ている自律神経への圧迫がなくなります。関節の間(椎間板)に余裕が生まれることで、歪みがなくなり身体の構造のバランスがとれ、骨格に上手く体重をのせて支えられるようになれば、筋肉の慢性的な緊張は不要になります。

     

    治るメカニズム

    治るメカニズム

     

    鍼灸の効果

    さらに当院では鍼灸治療を加えることにより、脳内モルヒネβエンドルフィンを引きだします。

    βエンドルフィンとは・・・
    もともと人間の脳内にある神経伝達物質で、モルヒネと似た分子構造をもっており、高揚感や幸福感が得られ、モルヒネの6.5倍の鎮痛効果があるといわれています。マラソンの途中で「苦しい」と感じるときに起きる「ランナーズハイ」もこの作用といわれています。

    このβエンドルフィンは鎮痛作用が有名ですが、血流改善や自律神経の調整など様々な面からも効果を出し、免疫力強化、老化を防ぎ、自己治癒力を高める作用があります。
    鍼灸の刺激を、皮膚の下や筋肉にある「感覚受容器」がキャッチして脳に伝えβエンドルフィンが作られます。