今回は「皮膚と脳の関係について」をお話いたします。

子供の頃、あたまやおなかが痛い時にお母さんにさすってもらうと痛みが和らいだ経験はありますか?ケガや病気の治療のことを「手当て」といいますが、まさにお母さんは治療をしていたのです。絶大なる信頼関係と愛情がなせる技ではありますが、なぜさするだけで痛みが和らぐのでしょうか。科学的には「遠赤外線」が手のひらから出ているといわれていますが、皮膚と脳の関係性もあると思います。お母さんの胎内でひとつの受精卵が分裂を繰り返し、人間が構築されていく初期段階で卵の黄身・白身・殻のような感じで内・中・外胚葉と三つの層に分かれます。層によって出来る組織が異なり、内胚葉が主に内臓に、中胚葉は主に筋や骨に、外胚葉は主に表皮・脳神経組織になります。「皮脳同根」という言葉があり、皮膚と脳は同じ胚葉から出来た器官ということです。皮膚と脳がつながっているからこそさするだけで痛みが和らぐといっても良いのかもしれません。

お母さんの「手当て」にはかないませんが、患者さんとの信頼関係を構築し「手当て」という治療を心がけています。